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おまけのタヒチ

前回の記事でボラボラ島のことを書いたのですが、タヒチ島については触れなかったので、書いておきます。

東京ータヒチ間のフライトは往復それぞれ週に2回しか出ていません。
復路の飛行機は7:20AM、ということで、最終日の前日はタヒチ島の首都パペーテに1泊する必要があります。

タヒチ島にはゴーギャン美術館がありますが、パペーテからは遠く、行くとしたら1日がかりになりそう。アート好きなAくんのため、パペーテに2泊するかどうか相談したのですが、ゴーギャン美術館の作品は一つ残らずイミテーションであることを知り、行かないことになりました。この決断があとで功を奏するのですが……。

ボラボラのホテルをチェックアウトしたのが11時。そこからボートとプロペラ機を乗りついでパペーテのホテルに到着したのが14時頃だったかな。


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飛行機なのに、席は決まっておらず早いもの勝ちのプロペラ機。


別料金だと思ってた市内観光のオプションが全員についているというので、バスに乗せてもらってパペーテ市街へ行きました(ホテルはどれも、市街地からは車で15分ほど離れていました)。

市内観光と言っても、観るものは特になく、自由行動でお土産屋さんめぐりをしたあと、全員でルロットという夕方になると出現する屋台村へ移動して、銘々夕飯を食べてからホテルに送ってもらう……というもの。


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ルロットの様子。広場にバンのお店が30軒くらいあったかな。中華やピザ、ガレットのお店など。


ボラボラのホテルには、ものすごく小さな店一軒しかなくて、それも滞在者が必要なTシャツやら帽子やらを売っているようなものだったので、パペーテでお土産を買うつもりで、出かけたのですが……。

まず、連れて行かれたショッピングモールというのの店が、ほとんどシャッターが降りている……。現地の人が行くマーケットがあるということで行ってみたけれど、そこもあんまり人がいなくて、さびれていて……。街全体がなんとなく暗い雰囲気。「みんな…、どこ?」と泣けてきそうでした(笑)。


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中華料理。量は多いけど、そんなに美味しいものじゃないです…。焼きそば1200円くらい。


タヒチには黒真珠やバニラなどの名産品もあるけれど、やっぱりメインの産業は観光なのかな。物資の多くは、フランスからの輸入に頼っているとか。暑い国ならではですが、果物あり魚ありで、働かなくても生きていけるため、全然働かない若者も多いそうです。


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人気の無いマーケット。街中にもあんまり人がいなかった・・・。


そして、ビックリなのは物価の高さ。ホテルにいるときは、リゾート価格だと思っていましたが、市街のスーパーでも日本と同じかそれ以上の高さ。屋台の水、800mlで500cpf (500円と思ってください)。30cmくらいのお魚は1000cpf。これじゃ現地の人は働いても生きていけないよ。フランスからの輸入に頼るため、こうなるらしいですが。どうやら、植民地を独立させないための陰謀でもあるらしい。。。


なんだか、わたし達はくらーくなってしまい、もしもう一度タヒチに来る機会があったなら、パペーテではホテルから出るまい、と決めました。


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ホテルからの眺め。プールで泳いでいたかったなぁ…。向かいに見えるのはモーレア島。



ちなみに、これからタヒチを訪れる人のために書いておくと、お土産もののお菓子もゴーギャンの絵のついたチョコレートかクッキーか紅茶くらいしかなく、買うなら空港で買ったほうが良さそうです。空港の売店は日本の飛行機に合わせて5:00AMくらいから開いてます。

最後に、タヒチと言えば、何年か前に「仔猫殺し」で有名になった坂東真砂子さんが住んでいた場所ですね。

当時、彼女へのバッシングが酷かったですが、わたしは、猫は大好きだけど、彼女の言い分はよく分かる気がします。

「仔猫を殺すのは酷いこと。だけど、猫を避妊・去勢するのも同じくらい酷いこと」

彼女はそれが言いたかったのだと思います。
そして、動物を避妊・去勢することを「最善」としている世の中に、一石を投じたくて、あのエッセイを書いたのだと。

多分、彼女を批判した人は、仔猫の「命」に目を向けている。
だけど、彼女は猫達の「生」に目を向けていたのです。

ただ命があるだけで、生きているとは言えない。
例えばあなたが、生殖能力を奪われて、6畳一間に永遠に閉じ込められたとしても、食べ物が豊富にあるから幸せだと思えるでしょうか?

「ペットに避妊手術を施して『これこそ正義』と、晴れ晴れした顔をしている人に私は疑問を呈する」と彼女は言っています。

わたしも、避妊した猫を2匹飼っていますが、そう思います。
少なくとも、同様のことをしている人は誰も、彼女のことを「残酷」と責めるべきではないのです。
なぜなら、あなたのしていることも、同じくらい残酷だから。

確かに今、世の中は(日本は)、「犬や猫は避妊・去勢手術をして、完全室内飼いすること」が主流となってきている。わたしのように、疑問を感じながら長いものに巻かれている人もいるでしょう。だけどそれは、人間の都合だけを考えた今現在の最善策であって、時が流れ、場所が変わればきっと簡単にひっくり返る価値観に過ぎません。ましてや、正義などではありません。

その後、坂東さんはポリネシア政府に「愛玩動物への虐待」を告訴され、イタリアを経て日本に帰国したあと、今年の初めに死去されたようです。ポリネシア政府の対応は、観光地として「楽園」のイメージに傷がつくことを恐れて(特に、日本人の目を気にして)ではないかと思ったりしますが……。

今回、タヒチから帰って、初めて坂東さんの著書を読みました。
「南洋の島語り タヒチからの手紙」というエッセイです。
タヒチに住んで、野良鶏の玉子を奪ったり、車にはねられて死んだ鶏を解体して食べて生きている坂東さん。これを読むと、彼女がいかに真摯に「生」と向き合っていたか、生半可な気持ちで仔猫を投げ捨て、それをエッセイにしたのではないことが、よく分かります。

「目の前の命」だけに目を向けバッシングするだけで、彼女の意図、その命の裏に広がる意味を理解しようとする人がほとんどいなかったことを、残念に思います。いつか、彼女の真意が多くの方に理解される日がくるといいな。

そのときにはきっと、人と動物が無理なく共存できる日が近づいている。
そう思うからです。


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くるといいにゃ〜。






by diastella | 2014-08-23 03:05 | 旅に出てました。